メーカーとしてR&Dに
着手し、
オリジナル粉末
合金の開発を目指す。
シリンダー製造部 取締役 部長
石原 隆司

素材設計と難削加工に強み

HIPシリンダーとは、プラスチックの成形に使われる射出成形機のメインパーツである加熱筒のことです。
私は、HIPシリンダー事業の総責任者として、その製造・販売に関わるすべてを統括しています。

私たちは、HIPシリンダーをメーカーとして供給しています。城洋が創業時から携わってきた機械加工との違いは、それがお客様のニーズに応じた個別受注型を基本とするのに対し、本事業はものづくりを主導的に行う「プロダクト・ファースト」の形をとっていることです。

我がシリンダー製造部における優位性は、難削材を加工する技術を持ち、複数の金属粉末をブレンドして高い強度・耐圧・耐蝕・耐摩耗性を持つ素材設計ができることにあります。さらに市場で評価され、事業として継続するためには、優れたコストパフォーマンスを実現させなければなりません。そういった総合力という点で、他社に負けない技術力と生産力を確立していると自負しています。
たとえ城洋のHIPシリンダーを他社がつくろうとしても難しいでしょうし、同等の生産能力を一朝一夕に備えるのもおそらく無理でしょう。あるレストランの味を真似しようとしても、簡単に再現できるものではありません。技術においてもきっと同じことなのです。


大打撃を受けて生産体制を再構築

本来HIPシリンダー事業は、城洋が長年お付き合いさせていただいているお客様が手がけていた事業でした。最初は一部工程のみを受注していましたが、先方内でHIPシリンダーのシナジー効果が決まった時に、城洋がすべての製造工程を一貫して担うようになりました。それから2年後に先方がHIPシリンダー製造から完全撤退する際に、事業移管が行われました。お客様が保有していた技術を継承し、そこに自社技術をかけ合わせて、独自の進化を遂げていったのです。

とはいえ、HIPシリンダー事業がずっと順風満帆だったわけではありません。2008年のリーマン・ショック時に射出成型機の販売数が激減し、その影響でHIPシリンダーの受注数もピーク時の月産300本から月10本未満にまで落ち込みました。
ありがたいことに1年ほどで受注数は回復基調を見せましたが、この大打撃をきっかけに、生産体制を一から見直し再構築を図りました。

リーマン・ショック前は月平均260本前後を生産していましたが、リーマン・ショック後は月産130~180本で安定的に収益が見込める生産体制に切り替えました。その背景には、かつて世を席巻した携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機がスマートフォンの機能に集約され出したという、市場の変化があります。一見すると単なる減産に思われるかもしれませんが、事業の持続性や成長性、人的配置、市場を見すえながら、最適な生産体制を随時見直していく方針にシフトしたのです。


オリジナルの素材開発に注力

事業継続という視点で市場を俯瞰した時、プラスチックは様々な製品や分野で依然として需要があるため、成長の余地はあると見ています。加えて、いま私が注目しているのはフッ素樹脂です。フッ素樹脂は、車や航空機だけでなく、医療機器や産業機械など様々な分野での需要拡大が予測されています。私たちの製品のライニング合金にはフッ素樹脂に強いものもあり、ビジネスチャンスの発掘と拡大を図るため、今後もその市場動向は注視していきたいところです。

城洋はいま、鳥取市に新たな生産拠点となる工場の新設を進めています。シリンダー製造部においては、本社工場の生産能力は維持しながら新工場でも生産ラインを整え、増産に備えます。

さらに、鳥取新工場内には、次のニーズや事業につながる研究開発の拠点となるRABOが設置される予定です。そこでは、様々な企業や大学とのタイアップも検討しながら、オリジナルの粉末合金の研究開発やその切削技術を研究していく構想です。開発素材が試作・量産段階まで進んだら、研究開発とマザー工場を兼ね備えた新工場で対応する。そんな将来像も描いています。

素材開発の期間としては、製品の特性上、開発から製品化し、市場評価までに3~5年はかかると予想しています。今後も市場観察とお客様のニーズの情報収集を続け、少しでも早期に素材開発を実現するのが私たちの目標です。

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